芸術の国・フランスから生まれたクロエ(Chloe)は、美しいファッションアイテムを数多く送り出し、女性たちを魅了してきました。中でも「パディントン」は、クロエの象徴とも言えるほど有名なバッグです。
特徴的な大きな南京錠と少し平たいフォルムで仕上げられているパディントンは、クロエならではの可愛さと美しさを表現しています。
しかし、今では廃盤になってしまったこともあり、最近では「古い」「流行遅れ」と言われることも少なくありません。
ですが本来は、ブランドバッグは末永く使い続けられるもの。ここでもう一度、パディントンの良さを見直してみませんか?
今回は、パティントンの歴史からその良さまで、全てを解説します。
■パディントンとは?
誕生以来、その美しいフォルムと可愛らしさで、多くの女性を虜にしてきたパディントン。
まずは、そんなパディントンの特徴やルーツを探ってみましょう。
・目を惹く南京錠のモチーフ
パディントンのエンターには、ゴールドに輝く大きな「パドロックキー」が輝いています。
存在感もさることながら、あえてくすみのかかったゴールドに仕上げることで、歴史あるパリの街のようなクラシカルさを演出しているのも大きな特徴です。古いものにこそ美しさを見出す、ヨーロッパの習慣が生み出したバッグとも言えるでしょう。
バッグに使われる皮の色は、このパドロックキーの雰囲気を損なわないものが多く選ばれます。
・パディントンの誕生秘話・歴史
クロエのパディントンを生み出したのは、フィービー・ファイロという女性デザイナー。パディントンを語る上で、彼女の存在を欠かすことはできません。
フィービー・ファイロは1997年にクロエへ入社して以来、友人のステラ・マッカートニーと共に「可愛らしさ」を交えた革新的なコレクションを生み出し、ブランドのブラッシュアップに一翼を担いました。
2001年、ステラは退社し、フィービーがその後を継いでクリエイティブ・ディレクターに就任します。ここからがフィービーの本領発揮です。
ステラから引き継いだクロエをしっかり守り続けたフィービーは、運命のバッグ「パディントン」を発表。今までにないころりと丸いフィルムに、女性たちの視線はくぎ付けになり、あっという間に人気のバッグとなりました。
「パディントン」という名前は、イギリス・ロンドンに実在する駅の名前から付けられた名前です。「きかんしゃトーマス」や、アガサ・クリスティの「ポワロシリーズ」に登場する著名な駅でもあります。人々の行き来を手伝い、有名な作品の舞台にもなった駅の名前を冠したことで、パディントンにも「末永く愛される」という魔法をかけてくれたのかもしれません。
そのおかげか、パディントンは今もなおクロエの「アイコンバッグ」と言われています。
・サイズの展開は3つ
クロエのパディントンは3つのサイズ展開があります。
現在はパディントン自体が廃盤となっているため、お好みのカラーやサイズを見つけるのは難しいかもしれませんが、どのサイズもシーンや場所を選ばずオシャレに使えるのが特徴です。
パディントンバッグ・ミディアム
約 縦18センチ×横37センチ×幅18センチ
「パディントン」と言ったらこのサイズ。肩から下げたときにバッグがアクセサリーに見えるような、ほどよいサイズのバッグです。
パディントンバッグ・ミニ
約 縦14センチ×横27センチ×幅14センチ
ミディアムよりきゅっと小さくなったミニサイズのパディントンです。肩から下げるのではなく、手に持って歩くのにちょうどいいサイズです。
パディントンバッグ・ラージ
約 縦23センチ×横46センチ×幅20センチ
パティントンバッグでいちばん大きなサイズです。大きいだけに存在感たっぷり。
・バレンタイン限定でメンズアイテムも
レディースのイメージが強いパティントンですが、実は稀少なメンズラインが存在します。
クロエは2009年に、バレンタイン限定メンズコレクションとして「ミスター・パディントン」を発表。「運命の赤い糸」をコンセプトに、バッグに赤いモチーフが使われました。
年を重ねた男性が持てばキリリとオシャレに、若い男性が持てばアバンギャルドなイメージに。その人ならではのクールさを引き出してくれます。
・パディントンの価格帯は?
現在は廃版となっているパディントンですが、現役時には15万~25万程度の価格で販売されていました。
厳選した子羊の革を使用していることを思えば、決して高くはない価格です。
■パディントンの素材は?
パディントンには、クロエが厳選した上質な革が使用されています。触れるとふわりと柔らかく、それでいてとても丈夫なのが特徴です。
革製品のいいところは、長く使えば使うだけ味が出ること。新品のときとはまた違い、長く使ったからこその味が出ます。
それではクロエのパディントンにはどんな革が使用されているのでしょうか?
・キッド
パディントンに使用されている革の1つは「キッド」と呼ばれる革です。
キッドとは、生後1年未満の仔山羊からつくられる革のこと。手触りはまるでシルクのように滑らかで、薄いのにとても頑丈です。表面のキメが細かいところも特徴。女性の靴や手袋に使われていることからも、その質感を想像できるのではないでしょうか。
・カーフ
カーフは、生後半年以内の仔牛の革のことを言います。カーフもまたパディントンに使われている素材のひとつ。
革製品の中でも特に牛革は非常に重宝され、カーフは細かい繊維とツヤに特徴が見られます。牛革の中でもとくに貴重な革で知られています。
■パディントンの人気アイテムとは?
クロエが生み出したパディントンは、バッグ以外にも様々なファッションアイテムを生み出しました。
バッグとお揃いにして使うのも良し、それだけでさりげなく使うのも良し。つい色々な使い方をしてみたくなる、そんな人気アイテムたちを集めてみました。
・長財布
女性に人気の長財布がパディントンのシリーズから登場。
シンボルモチーフとなるパドロックキーを引き立たせるため、あえてシンプルなデザインに仕上げているところにクロエらしさがあります。バッグから取り出したとき、クロエならではの高級感を漂わせるでしょう。
・二つ折り財布
コンパクトに持ち歩ける二つ折り財布も、パディントンの重要なコレクションのひとつ。
長財布よりも面積が小さいため、パドロックキーがより華やかに引き立ちます。
・ハンドバッグ
パディントンミニは、気軽に片手で持てるハンドバッグサイズです。
こちらも、バッグのサイズが大きいからこそパドロックキーが際立ち、よりキュートな印象に。装いにゴージャスさをプラスしたいときに活躍してくれるアイテムです。
・ネックレス
パディントンコレクションの中で、特に可愛らしさを放つのがネックレス。パディントンのパドロックキー&鍵をそのままネックレスのモチーフにしたもの。
小さいながらも、クロエのパディントンと解る造りになっており、存在感は抜群です。日常のお洒落にも、パーティーのような華やかな場にもオススメ。
■パディントンの人気色とは
様々なカラーが発売されているパディントン。
今回は中でも特に人気のカラーについて詳しく解説します。お部屋のクローゼットを覗いてみて、自分に合うパディントンはどれかな?と想像してみてくださいね。
・ブラウン
深いブラウンのパディントンは、思慮深い女性を思わせる大人っぽさが漂います。落ち着いた色だけにどの季節にも似合いますが、秋冬のシックな装いに合わせるのが一番のオススメです。
・ベージュ
パディントンのベージュは、春の日の散歩道を思わせる明るいお色となっています。たとえシンプルなデニム+白いシャツの装いでも、このパディントンひとつでフェミニンなルックに早変わりさせられるのが魅力の1つです。
・アイボリー
ホワイトにうっすらとベージュがかかったようなアイボリーは、パドロックキーのゴールドをより引き立たせてくれる高級感溢れるカラーです。白に近いお色なので、どんな服装にもしっくり染まってくれるのも特徴です。
・ブラック
滑らかな革のツヤがしっかりと目立つ、黒のパディントンは「より特別な上質感」が漂います。
パーティーの場でも、カジュアルな場でもしっかりと存在感を放ってくれるでしょう。
■パディントンは使いづらい?デメリットは何?
クロエのアイコンとして愛されるパディントンですが、完璧なバッグが存在しないように、パディントンにもいくつかの欠点があります。
中でもよく指摘されやすいパディントンの欠点をまとめてみました。
・南京錠が重い
パディントンはファッショナブルで丈夫なバッグですが、チャームポイントの南京錠が重いともよく言われます。革バッグはどうしても重量が重くなりがちですが、さらに大きなパドロックキーがついているため、余計に重いと感じるかもしれません。
特にラージサイズの場合は、中に入れる荷物によってはとても重くなってしまうのが難点です。パディントンを購入する時は、まず実際にバッグを持ってみて、自分が希望する使い方ができるかどうかを確認しましょう。
・廃盤のため店頭では購入できない
残念ながら、パディントンはすでに廃盤となっているバッグです。これから手に入れるには、中古ショップを回ってほしい型をみつけるしかありません。
中古ショップ巡りを楽しみながら、お気に入りのパディントンを探してみてください。バッグだけでなく、ネックレスなどのアクセサリーも販売しているお店があります。お手頃な価格で買えるお店もあるので、考えようによってはお得かも。
■分かりやすいところだけ!パディントンの本物と偽物の見分け方
人気のブランドバッグの宿命か、パディントンにも偽物が存在します。きちんとした店舗で購入するのであれば、まず偽物にあたることはないと考えて良いですが、やはり「万が一」が不安ですよね。
誰にでも分かりやすい簡単な見分け方を紹介します。
・鍵の刻印
パディントンのパドロックキーについている鍵には「Chloé」の刻印が入っていますが、本物は繊細に薄く刻印が入っているのに比べ、偽物は太くごつごつとした刻印がされていることがあります。
ハイブランドにしては品がなく違和感があるため気付きやすいのが特徴です。中古ショップなどで買うときはまず鍵の刻印を良く見てみてくださいね。
・鍵穴の向き
パディントンについているパドロックキーの底の確認も重要です。
本物は鍵穴が「下向き」になっているのに対し、偽物は上向きになっていることがあります。パディントンは底にあるすべて鍵穴が下向きについているので、上向きだったらそれは偽物。こちらも簡単に見分けられるので、購入するときは役立ててみてくださいね。
■パディントンが流行遅れになることはない
Itバッグの宿命でしょうか。人気が出たバッグほど、時間の経過とともに「流行遅れ」「古い」などと批判されやすい傾向にあります。
特にパディントンは既に廃盤となっているため、余計に「流行遅れのバッグ」と言われやすいのでしょう。
しかしだからこそ、クロエのパディントンを持てることはとても貴重でもあります。クロエを生んだフランスには、「古いものを大切に使う」という意識が根付よくありますが、「流行遅れと言われているから」「古くなったから」と言って捨てたり見放すのではなく、ヴィンテージとして使ってみたり、パディントンがどうしても欲しい人に譲ったりと、考えてみればさまざまな使い道があるのです。
パディントンを既に持っている人もこれから手に持ちたい人も、自分なりの使い道を考えて楽しく使用するのが良いのではないでしょうか。